自分が受けたい歯科医療は?家族に受けさせたい歯科医療は? そう聞かれたときに、必須条件として浮かんでくることの一つに、この「感染対策」が挙げられます。
歯科治療においては、抜歯や外科的処置など、出血が避けられないケースが少なくありません。人の口腔内には、さまざまな細菌が数多く存在しています ので、そういった血液や唾液、歯の削りカスなどが、治療に用いる器具を介して他の人に接触するようなことがあれば、深刻な感染症を引き起こしてしまう可能 性があります。
そのようなリスクを排除するためには、小さな器具の1つひとつにまでしっかりとした対策を施す必要があります。しかしながら昨今でも、病院などでの 院内感染が問題になることがあるように、残念ながら日本ではヨーロッパなどの欧米圏に比べて、感染への意識がまだまだ低いのが現状です。
そのような中で当院では、患者さまの安全と安心に努めることをポリシーとして、徹底した感染対策を行っています。高圧蒸気滅菌器やハンドピース専用 滅菌器によって、患者さま一人ひとり専用に滅菌・消毒された器具を用いたり、可能な限りのディスポーサブル(使い捨て)を採用するなど、免疫力の弱い小さ なお子さまやご高齢者の皆さまにも、安心して治療を受けていただける環境を整えています。
【常温環境に存在するすべての細菌、ウィルスを死滅させる】
オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)
当院では、治療器具を消毒液につけるだけで使い回すようなことはせず、オートクレーブによってすべての細菌、ウィルスを死滅させる方法で滅菌しています。 オートクレーブ滅菌器では、2気圧の飽和水蒸気によって温度を121度に上昇させることが可能。これによって、肝炎ウイルスはもちろん、ほとんどの微生物 を死滅させることができます
見落としがちな小さな器具まで、徹底的に完全滅菌しています
●基本セット
感染対策ピ ンセットやミラーなどは、どのような治療でも必ず使用する小器具のセットです。当院では、こういった小さな器具のひとつひとつまで、使用後は必ずオートク レーブで滅菌処理を行っています。 また、すべての細菌やウィルスを完全滅菌した後は、滅菌が終わった器具が再度汚染されないように滅菌パックに入れたまま保存。治療の際に個々の患者さまの 前で開封・使用しています。
●歯を削るバー
虫歯の患部など、歯を削る刃物を歯科医療では「バー」と呼び、ダイアモンド・バーやスチール・バーなど、用途によって複数の種類が用意されています。これらも、使用毎にオートクレーブで完全滅菌し、専用の滅菌パックに梱包して保管しています。
●リーマー・ファイル
リーマーやファイルは、根管治療に用いる小さな器具です。複雑な歯の根の内側を削ったり清掃したりする器具なので、少なからず患者さまの血液が付着するため、使用後は必ずオートクレープで滅菌し、滅菌パックに入れて保管します。
リーマーやファイルは、一回の治療で何本も使用しますので、その都度すべてを滅菌するのはとても手間のかかる作業ですが、患者さまの安心と安全を確保するため、当院では必須の処置となっています。
ヨーロッパ基準【クラスS】 ハンドピース専用滅菌器導入
日本の歯科医院の7割以上が使いまわし-歯を削るタービンの滅菌について
感染対策歯 科用ハンドピースは、風を動力とするもの(エアタービン)と、エンジンを動力とするもの(マイクロモーター)の2種類に大別されます。さらには、それらの 動力を使用して実際に歯を削るヘッド部分も、その形状や使用目的によって、ストレート、コントラアングル、倍速コントラ、超音波スケーラなど、さまざまな 種類が存在します。
いずれも、「歯を削るための器具」なのですが、ハンドピースはその構造上、回転を終了する時に、口腔内の切削粉や唾液を僅かではありますが吸い込んでしまうといわれています。しかし、今現在日本では、ハンドピースの滅菌が法律で義務付けられているわけではありません。
歯科用ハンドピース等の使用後の消毒・滅菌については、オートクレーブ等による滅菌が原則とされている一方で、「薬液消毒と10秒以上の空回転をす ること」がガイドラインと見なされているのです。そのため日本では、「歯科用ハンドピースを患者ごとに交換・滅菌している歯科医療機関」は、実はほとんど 存在しないのです。2014年5月19日の読売新聞にも、「7割の歯科医院で、歯削る機器 (歯科用ハンドピース)が使い回しされている」という記事が掲載されました。
しかし、10秒空回転されただけで、はたして吸い込んだ汚物を全て排出・除去できるものなのでしょうか? 日本では、法律的には要求されていない「エアー タービンヘッドの患者ごとの滅菌・消毒」ですが、アメリカでは各州ごとに滅菌・消毒を義務付ける取り決めがあり、実態調査時に滅菌・消毒が行われていなけ れば開業停止になる...という現実もあるのです。
そこで当院では、ハンドピース専用の滅菌器を導入し、患者さまごとに必ずハンドピースを交換・滅菌しています。頻繁な滅菌は、ハンドピース内部部品 の耐久性を低下させますから、ハンドピース自体の寿命は短くなりますが、当院では、「患者さまの安心・安全とコストは、秤にかけられるものではない」とい う点に重きを置き、こだわりを持って滅菌システムを構築しています。
できる限りの「使い捨て」を徹底
「使い捨て」という意味をもつディスポーザブルは、歯科だけでなく医療業界でも重要視されています。 当院では、患者さまに使用していただく紙コップやエプロン、歯科医療者が使用する手袋やマスクなどは、患者さまごとの使い捨てを徹底しています。
もちろん、注射針・縫合針・麻酔薬のカートリッジ・メスなども使い捨てです。さらには、滅菌できない器具には「使い捨てのビニールカバー」を施し、洗浄後の 器具が汚染されることを防止しています。